とある夫婦が
ミュージシャンである彼等とそのゲスト達のために
アリゾナ州ツーソンのソノラ砂漠にセカンドハウスを建てました。
依頼したのは、建築もアートもデザインも手がける「DUST」。
この、メキシコの血が流れる2人のアーティストは
砂漠の中に家を建てるというプロジェクトのために
あらゆる自然のルールを調査したと言います。
空気の流れ、地形、貴重な植物の群生地、
動物の移動ルート、日照時間、そして景観。
今ある自然のバランスを崩さないように
家が環境に与える影響を最小限にするために
ありとあらゆることが計算されデザインに反映されています。
巨大な雨水のタンクを作り、水源を確保。
冬には日光で壁や床が暖められるよう向きを計算し
すべての部屋が外のテラスと一体化するよう設計され
雄大な景観が部屋の中へ入って来るよう意図されています。
インテリアは建物と風景と同化するよう、土着的で素朴で
大地の力強さを表現する物を選び、アートのように配されています。
オーナー夫婦からの唯一の依頼でもあった
「映像や音響を存分に楽しめる」という意向すらも、
実用性と共に美しく叶えられています。
リビング、ダイニング、ベッドルームから成る
3つのセクションは繋がっておらず、
外気に触れずにアクセスすることはできません。
この家は常にオープンエアであり、自然と生きることを意識させる装置でもあるのです。
使い捨てのように次々と建物が建つ日本に暮らしていると
建築は舞台である、という概念が人々の中に育つことはほとんどありません。
こんな風に、
自分がどのような哲学を持って生きていきたいか
その為に何処に自分という存在を置くことにするのか
そう云った強い軸を表現出来る家に住むことは
最高の贅沢かもしれません。
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Image sorse : HomeDSGN / Arch Daily © Jeff Goldberg/Esto